記事一覧へ
カウンセリングサービス

ADDとADHDの違いとは?ADHDの3つのタイプや治療方法について解説

2023.0905

注意欠如の発達障害にはADDとADHDとがありますが、ADDとは昔の診断名で、多動性の症状が注目されたことにより、現在はADHDと診断名が変更となりました。

ADHDは、不注意や多動性、衝動性といった特徴を持っており、その特性の強さによって3タイプに分けられます。

ADHDの特徴やタイプを理解することにより、対処できるようになるかもしれません。この記事では、ADDとADHDの違いやADHDのタイプ、治療方法について解説します。

ADDとADHDの違い

注意欠如の発達障害に、ADDとADHDがあります。実は、ADDはADHDの昔の診断名です。多動性の症状に注目が集まったことにより、診断名が変わりました。ここでは、ADDとADHDの違いについて解説します。

ADHDの昔の診断名がADD

ADDという診断名は、1980年に出版されたDSM-Ⅲにより、はじめて登場しました。日本語では「注意欠陥障害」と呼ばれています。

ADDと呼ばれる発達障害は、もともとは多動性の症状に注目が集まっていたものの、注意の持続と衝動性の制御の欠陥により焦点が当てられ、ADDと呼ばれていました。

しかし、その後、再び多動性の影響力に注目が集まり、1987年にDSM-Ⅲ-Rが改訂されました。そこで使用された診断名が「ADHD」です。ADHDは、日本語では注意欠如・多動症と呼びます。

ただし、世界共通の分類の基準「ICD(国際疾病分類)」では、1990年の改訂までADDが残ったままになっていたため、ADHDが診断名として使われ始めたのは1990年以降です。

つまり、ADDは過去に使用されていた診断名であり、現在では同様の症状が当てはまってもADDと診断されることはありません。

違いは多動性の有無

ADDとADHDの違いは、多動性の有無です。ADDとADHDは以下の略語となっています。

ADD:Attention Deficit Disorder

ADHD:Attention Deficit Hyperactivity Disorder

Hyperactivityが「多動性」を表し、椅子に座っていられなかったり、衝動的な行動をしたりすることを指します。

そもそもADHDとは

ADHDとは、神経発達症のひとつで、不注意や多動性、衝動性といった特徴があります。ADHDになる原因は特定できていないものの、脳の機能が正常に働いていないことにより、行動のコントロールに困難が生じている可能性があるという考えがでてきました。

ここでは、ADHDの特徴と原因について解説します。

ADHDの特徴

ADHDは生まれつきの精神疾患で、神経発達症のひとつです。ADHDの特徴として、以下の3つの症状が挙げられます。

  • 不注意(集中力がない・注意散漫)
  • 多動性(落ち着きがない)
  • 衝動性(思いつくと行動してしまう)

上記の特徴が普段の生活に影響を及ぼすほど深刻な場合、ADHDと診断されます。ただし、3つの特徴の強さは人によって異なり、成長とともに症状が変化し特徴が目立たなくなるケースや、本人が状況に対処できるようになるケースも存在します。

しかし、特徴そのものが完全になくなるわけではないようです。

ADHDになる原因

ADHDは生まれつきのものであり、遺伝や環境の影響を指摘する研究も存在するものの、症状が発生する原因は、はっきりとはわかっていません。生まれ持ったものと育った環境、現在の環境が相互に作用して症状が発生するという考えもあります。

近年の研究により、脳の働きが関係している可能性があることが明らかになってきました。脳の前部分にある「前頭葉」は、物事を整理整頓したり、論理的に考えたりする働きを司ります。

ADHDでは前頭葉の働きが弱く、注意したり行動をコントロールしたりする機能に異常があると考えられているようです。

ADHDの3つのタイプ

ADHDは不注意や多動性、衝動性といった症状があるものの、それぞれの特徴の強さは人によって異なります。症状の現れ方によって、以下のタイプに分けられます。

  • 不注意優勢型
  • 多動性・衝動性優勢型
  • 混合型

DSM-5の診断基準には、9つの不注意症候と9つの多動性・衝動性症候があります。また、以下の条件を満たしている必要があります。

  • 6か月以上、症状が認められる
  • 患児の発達水準から予測されるよりも著しい
  • 家庭と学校といった、2つ以上の状況で症状がみられる
  • 12歳前に複数の症状がみられる
  • 家庭や学校、職場での機能を妨げている

ここでは、3つのタイプの特徴や症状例について解説します。

不注意優勢型

不注意優勢型は不注意の特徴が強くでるタイプで、その症状により、ケアレスミスをしたり誤解を与えてしまったりするケースがあります。あえてADDという診断名を使うのであれば、この不注意優勢型が該当します。特徴や症状例は、次のとおりです。

特徴

不注意優勢型は、多動や衝動といった特徴よりも、不注意の特徴が強くでるタイプです。ひとつの作業に集中し続けられなかったり、忘れ物が多かったりといった特徴のほか、外から刺激があった際に、すぐに気がそれてしまうといった特徴があります。

ただし、自分が興味を持ったことや、好きなことに対しては集中力を発揮します。人から話しかけられても、気づかないほどです。そのため、話しかけた人から「無視された」と、誤解されてしまうケースもあるようです。

症状の例

不注意優勢型の症状には、以下のものが挙げられます。このうち、6つ以上の症状に該当した場合、不注意優勢型と診断されます。

  • 細部に注意を払わない、またはケアレスミスをする
  • 活動の最中に注意を維持することが難しい
  • 直接話しかけられても気づかない、または聞いていないように見える
  • 指示に従わず、課題を最後までやり遂げない
  • 課題や活動を順序立てることが困難である
  • 継続的に課題に取り組むことを避ける、または嫌う
  • しばしば活動に必要な物を失くす
  • 外部からの刺激で容易に注意をそらされる
  • 日常生活で約束や期日を忘れる

多動性・衝動性優勢型

多動性・衝動性優位型は、多動性や衝動性といった特徴が強くでるタイプで、周囲からは落ち着きがない印象を与えてしまうケースがあります。特徴や症状例は次のとおりです。

特徴

多動性・衝動性優勢型は、不注意の特徴よりも、多動性や衝動性といった特徴が強くでるタイプです。じっとしていると落ち着かないため、無意識のうちに身体を動かしてしまうのが特徴です。

会議中に立ち歩いたり、自分が指名されていないのに答えてしまったりするといった特徴もあります。自分の感情や欲求に対するコントロールが苦手なため、集団生活において「落ち着きがない」と指摘されるケースがあるようです。

症状の例

多動性・衝動性優勢型の症状には、以下のものが挙げられます。このうち、6つ以上の症状に該当した場合、多動性・衝動性優勢型と診断されます。

  • 手足をそわそわと動かしたり、身をよじったりする
  • 授業中や会議中に席を立ってしまう
  • 不適切な状況で走り回ったり高い所に登ったりする
  • 静かに遊ぶことが困難である
  • じっとしていられず、エンジンで動かされているような行動を示すことが多い
  • 人の話を聞かず一方的にしゃべる、しゃべりだすと止まらない
  • 遮って発言してしまったり、質問が終わる前に衝動的に答えを口走ってしまったりする
  • 横から割り込んでしまうといった、順番を守ることが苦手
  • 他者の行為を遮ったり、邪魔をしたりすることが多い

混合型

混合型は、不注意優勢型と多動性・衝動性優位型の特徴が混合しており、学校や職場といった集団生活で支障をきたすケースがあります。特徴や症状例は次のとおりです。

特徴

混合型の特徴は、不注意優勢型と多動性・衝動性優位型の特徴が混合しているタイプです。注意力が散漫でケアレスミスが多いことに加え、落ち着きのなさや衝動的な行動がみられることにより、学校や職場といった集団生活で支障をきたすケースがあるようです。

症状の例

混合型は、不注意優勢型と多動性・衝動性優位型の両方の症状が見られます。

不注意優勢型

  • 細部に注意を払わない、またはケアレスミスをする
  • 活動の最中に注意を維持することが難しい
  • 直接話しかけられても気づかない、または聴いていないように見える
  • 指示に従わず、課題を最後までやり遂げない
  • 課題や活動を順序立てることが困難である
  • 継続的に課題に取り組むことを避ける、または嫌う
  • しばしば活動に必要な物を失くす
  • 外部からの刺激で容易に注意をそらされる
  • 日常生活で約束や期日を忘れる

多動性・衝動性優位型

  • 手足をそわそわと動かしたり、身をよじったりする
  • 授業中や会議中に席を立ってしまう
  • 不適切な状況で走り回ったり高い所に登ったりする
  • 静かに遊ぶことが困難である
  • じっとしていられず、エンジンで動かされているような行動を示すことが多い
  • 人の話を聞かず一方的にしゃべる、しゃべりだすと止まらない
  • 遮って発言してしまったり、質問が終わる前に衝動的に答えを口走ってしまったりする
  • 横から割り込んでしまうといった、順番を守ることが苦手
  • 他者の行為を遮ったり、邪魔をしたりすることが多い

ADHDの治療方法

ADHDの治療は、神経科や心療内科に通院したうえで方法を決定します。治療方法には、薬物療法のほか、心理療法や環境調整といった心理的なアプローチがあります。医師や臨床心理士と相談したうえで、適切な治療方法を選ぶことが大切です。

ここでは、それぞれの治療方法について解説します。

薬物療法

薬物療法は、治療薬の服用により症状緩和を図る治療方法です。薬物療法では、以下の治療薬を使用するのが一般的です。

  • アトモキセチン
  • メチルフェニデート

ADHDでは、ドーパミンやノルアドレナリンの作用が不足しているとされています。そのため、ドパミンやノルアドレナリン神経の働きをよくする薬を使用し、不注意や多動性、衝動性といった症状の抑制を図ります。

人によっては、吐き気や眠気といった副作用が起こるケースや、薬が効かないケースがあることも明らかになっています。

また、適した薬の量も人によって異なります。医師と相談したうえで、適切に服用することが大切です。

心理療法

心理療法は、医師や臨床心理士のカウンセリングによって、症状緩和を図る治療方法です。自分がADHDであること、その症状にはどのようなものがあるのかを理解することにより、自分のことを客観的に理解できます。

自分の失敗や周囲に迷惑をかけるような行動が、努力不足ではなくもともと持った特性であることを理解すれば、心理面での不安緩和につながるはずです。また、その対処法を学ぶことにより、失敗防止や周囲への迷惑軽減につなげます。

環境調整

環境調整は、周囲からの理解や生活環境を調整することにより、症状緩和を図る治療方法です。学校や職場といった周囲の人に症状を知ってもらい、サポートが必要なことを理解してもらうことにより、安心して過ごせる環境を整えます。

たとえば、計画を立てたり優先順位を決めたりといった、ADHDの人が苦手な作業は周囲の人がサポートしたり、得意な作業を多く担当したりします。ADHDの人が得意な作業に専念できる環境をつくれば、効率よく仕事が進められるはずです。

また、集中できるような作業環境の整備や、注意喚起を促すような工夫をすることにより、集中力向上や忘れ物防止につなげられる可能性があります。

環境調整には、周囲の理解が欠かせません。周囲の人に理解が得られるよう、学校や職場の管理者に説明することが大切です。

ADHDかもと思ったらカウンセラーに相談してみよう!

ADDは、ADHDの昔の診断名です。注意の持続と衝動性の制御の欠陥に焦点が当てられ、ADDと呼ばれていましたが、多動性の症状に注目が集まったことにより、ADHDに診断名が変わりました。

ADHDは神経発達症のひとつで、不注意や多動性、衝動性といった特徴を持っています。現在、ADHDになる原因は特定できていません。脳の機能が正常に働いていないことにより、行動のコントロールに困難が生じている可能性があると考えられています。

不注意や多動性、衝動性といったADHDの特徴の強さは人によって異なり、以下のタイプに分けられます。

  • 不注意優勢型
  • 多動性・衝動性優勢型
  • 混合型

診断基準には、9つの不注意症候と9つの多動性・衝動性症候があります。それぞれ6つ以上の症候が認められたものが、該当するタイプです。また、前提として「6か月以上認められる」「患児の発達水準から予測されるよりも著しい」といった、条件を満たしている必要があります。

ADHDの治療方法には、薬物療法のほか、心理療法や環境調整といった心理的なアプローチがあります。神経科や心療内科に通院し、医師や臨床心理士と相談したうえで、適切な治療方法を選ぶことが大切です。

Unlace(アンレース)では、チャット形式でのカウンセリングサービスを提供しています。メッセージプランを利用すれば、いつでもカウンセラーに連絡できます。また、追加でビデオチケットを購入することで、1回30分のビデオカウンセリングを利用することもできます。

チャット形式でのカウンセリングは、通院することなくカウンセラーに相談できます。「まとまった時間をとれない人」や「話すより書く方が伝えやすいと感じる人」におすすめのサービスです。

これまでずっと過ごしにくいと感じていた場合、決してひとりで抱え込まず、心の専門家に相談するのもひとつの方法です。

© 2023 オンラインカウンセリングのUnlace