喪失感の意味とは?喪失感から立ち直るための6つのポイント
喪失感とは、大切な存在を失い、心にぽっかり穴が空いたような空虚な気持ちのことです。同時に寂しさや悲しみなどさまざまな感情が押し寄せ、精神的につらい状態が続くことがあります。
今回は、喪失感の意味や放置する危険性、立ち直るためのポイントについて解説します。
目次
喪失感とは?
まずは、喪失感の意味や虚無感との違いについて確認していきましょう。
喪失感の意味
喪失感とは、大切な存在を失い、心にぽっかり穴が空いたような虚しい気持ちになることです。恋人との別れや仕事を辞めたときなど喪失感に襲われる理由は人それぞれですが、同時に怒りや不安、寂しさなどさまざまな感情が押し寄せ、精神的につらい状態が続くことがあります。
ときには、自分の感情が抑えきれなくなり、無意識に涙が出ることもあるようです。それほど、失った対象が自分にとって大きな存在であったことが考えられます。喪失感を抱くとつらい状態が続くことがありますが、時間が経てば経つほど少しずつ気持ちが楽になることがほとんどです。
つらい状況から気持ちが楽になるのは、時間の経過とともに大きな存在を失った現実を受け入れられたり、心の余裕ができたりするためだといわれています。
ただし、ふとした瞬間に過去の感情を思い出し、再び怒りや不安など複雑な感情に襲われることがあるようです。
虚無感との違い
虚無感とは、すべての物事に意味や価値を感じられない状態に陥ることです。たとえば、一生懸命努力したのに望む結果が得られなかったり、理想と現実にギャップを感じたりすると虚無感に襲われることがあります。
喪失感と虚無感は同じ意味に捉えられがちですが、虚無感は何かが失われるといった感覚は伴わないとされています。一方、喪失感は自分の一部を失ったような感覚に陥ることがあるようです。どちらも虚しい感情を意味する言葉ですが、ニュアンスが異なります。
喪失感を感じるときの例
喪失感を感じるときの具体例には、次のようなものが挙げられます。
- 大切な人やペットと死別したとき
- 恋人と別れたとき
- 仕事を辞めたとき
- 努力が報われなかったとき
- 達成感を抱いた後
- 楽しい時間を過ごした後
それぞれの例について詳しく解説します。
大切な人やペットと死別したとき
両親や配偶者など身近な家族や仲の良かった友人など、自分にとって大切な人と死別したとき、人は喪失感に襲われることがあります。
いつでも好きなときに会えると考えていたからこそ、「もう会えない」とわかると喪失感を感じるようです。大切な人を失ったつらい気持ちを受け入れられず、喪失感から立ち直るまでに時間を要することがあります。
また、ペットと死別したときにも、喪失感に襲われることがあるようです。愛するペットを失ったときに、喪失感に襲われることをペットロス症候群と呼びます。
人間と異なり、ペットは言葉での意思疎通ができません。「早く気づいてあげれば良かった」「治療方法が間違っていたのかな」など後悔が残りやすく、喪失感から立ち直るのに時間がかかることがあります。
恋人と別れたとき
大好きな恋人と別れたとき、喪失感を抱くことがあります。とくに、振られた側は相手への愛情が残った状態で、自分の気持ちが解消されないため、喪失感を抱きやすいようです。
交際当時の楽しい思い出を振り返ったり、恋人のいない未来を思って涙したりなど、つらい時間が続くことがあります。喪失感から抜け出せず、次の恋に進めなくなることもあるようです。
また、好きな芸能人やアイドルに恋人ができたり、結婚したりしたときにも喪失感を覚えることがあります。たとえ身近な存在でなくても、ファンとして熱中する相手であればあるほど交際や結婚の報道が出たときに大きな悲しみを覚えるようです。
「大好きな相手は誰かのものだ」という現実を突きつけられて、虚しさを感じることがあります。
仕事を辞めたとき
仕事を辞めた後に、喪失感に襲われる人もいるようです。たとえば、同僚同士で仲が良かった職場の場合、これからは毎日会えなくなると思うと寂しさが込み上げてきます。とくに転職に伴い遠くへ引っ越しをすると気軽に遊べなくなり、疎遠になることもあるため寂しさを感じます。
また、転職直後は職場になじめずに、精神的につらい状況が続くことも多いです。相談や愚痴を言い合える友人も身近にいないため、余計に寂しい気持ちが押し寄せてくることがあります。
さらに、会社での勤続年数が長ければ長いほど、仕事を辞めたときに喪失感を覚えるのかもしれません。ただし、新しい環境に慣れてくると、少しずつ喪失感が解消されていくようです。
学生の場合は、学校を卒業したときに喪失感を覚えることがあります。多くの時間を共有したクラスメイトと離ればなれになると考えると、「まだ一緒にいたい」という気持ちが強くなり、寂しさを感じるようです。
とくに、高校からは地元を離れ、これまでのクラスメイトと異なる学校に入学する場合もあるため、新しい生活に不安を抱えて喪失感が強くなることもあります。
大きな目標を達成した後
勉強や仕事など目標にしていたことを達成したとき、大きな達成感を感じます。しかし、ポジティブな気持ちが沸き起こるなか、電源が切れたような喪失感に襲われる人もいるようです。
喪失感を抱くのは、目標を達成した後に、自分が目指すべき目標がなくなるためかもしれません。これまで熱中していたことにもやる気も起こらず、燃え尽きたように意欲を失ってしまいます。
楽しい時間を過ごした後
喪失感に襲われるのは、悲しい出来事だけではありません。たとえば、飲み会や誕生日会など大勢の人と楽しい時間を過ごした後、帰り道で急に寂しさを感じることがあります。
とくに独り暮らしの場合は、帰宅した途端に空虚な気持ちに襲われることがあるようです。楽しい時間を過ごしたからこそ、現実との差にギャップを感じて喪失感を抱いてしまいます。
学生であれば、夏休みの終わりや友達と遊んだりした後に、喪失感に襲われることがあるようです。友達と離れたくないと感じて、「まだ帰りたくない」「もっと一緒に遊びたい」などと、駄々をこねることもあります。
別の楽しみがあれば気分も紛れますが、予定がない場合は気持ちが落ち込んで、喪失感から抜け出せなくなることもあるようです。
喪失感を放置しておく危険性
喪失感を放置すると、次のような危険性が考えられます。
- 長期的に苦しむこともある
- うつ病になる可能性もある
それぞれの危険性について詳しく解説します。
抑うつ状態が長く続く
喪失感を放置すると、そこから抜け出せず長期間苦しむ場合があります。とくに、大好きな恋人から振られたり大切な人と死別したりした場合、その現実を受け入れられず、自分の感情に蓋をしてしまう人もいるようです。
自分の感情に気づかないふりをすることで一時的に気持ちは楽になりますが、つらい現実から目を背けても、喪失感が消えるわけではありません。逆に喪失感が大きくなり、立ち直りに時間がかかります。
うつ病などこころの病気になる可能性がある
喪失感を放置すると、こころの病気になる可能性があります。喪失感を抱くと、何もやる気が起きない状態になってしまう場合もあります。
何もやる気が起きない状態はうつ病の初期症状のひとつで、知らないうちに発症していることもあるかもしれません。
やる気が起こらないといった症状のほかにも、1日中気分が落ち込む、何をしても楽しめないなどの症状が現れることがあります。
また身体的な症状として、食欲不振や疲労感、不眠症などが現れることもあるようです。症状が重症化すると、日常生活に支障をきたすことがあります。
喪失感から立ち直るための6つのポイント
喪失感から立ち直るためのポイントには、次のようなものが挙げられます。
- 喪失感を認める
- 気持ちを表に出す
- 仕事や趣味に没頭する
- リラックスする時間を作る
- 友達と会う
- カウンセリングを受ける
それぞれのポイントについて詳しく解説します。
1.喪失感を認める
喪失感から立ち直るには、まず自分が喪失感を抱いていることを認めることが重要です。人は、大切な人との突然の死別や大好きな恋人との別れを経験すると、喪失感に襲われることがあります。
とくに、喪失直後は喪失感を受け止められず、「自分がすべて悪いんだ」などと自分の感情を強く否定して、つらい気持ちから目を背けてしまうこともあるようです。
しかし、自分の気持ちから目を背け続けると喪失感から抜け出せず、長期的に苦しむことになる可能性があります。喪失感から立ち直るには、喪失感を認め、自分の感情と向き合うことが重要です。はじめはつらいかもしれませんが、ありのままの自分を受け入れてあげましょう。
2.気持ちを表に出す
喪失感から抜け出すには現実から目を背けず、自分の気持ちと向き合うことが求められます。しかし、つらい現実に向き合うことは、簡単なことではありません。
とくに、目を背けていた時間が長い場合は、つらい出来事を思い出して涙が出たり怒りを感じたりすることもあります。
また、気持ちが整理できずに、感情が制御できなくなることがあるようです。このような場合は、気持ちを抑制せず解放させることをおすすめします。
たとえば、悲しいと感じたときは自然に任せて泣いてみたり、怒りを感じるときはクッションを叩いてみたりするのもひとつの方法です。
自分の内から湧き出る感情から目を背けず、思いのまま解放させることで、少しずつ気持ちが落ち着いてくることがあります。
感情を解放させるのが苦手な方は、素直な気持ちを受け止めてくれる家族や友人に頼るのも良いかもしれません。話を聞いてもらうことで、心の奥にしまい込んだ気持ちを解放できることがあります。
3.仕事や趣味に没頭する
虚無感に襲われているときは、仕事や趣味に没頭するのがおすすめです。精神的につらいときに一人でいると、悲しみや不安に押し潰されそうになることがあります。
仕事や趣味に没頭することで、つらい出来事を考えなくなり、精神的に少し楽になることがあるようです。
趣味であれば、好きなスポーツで体を動かしたり、小説の世界に没入したりするのもひとつの方法です。長期的な休みを利用して、価値観や文化が異なる国に旅行してみる方法もあります。
非日常的な空間に身を置くことで喪失感から離れられ、つらい出来事を考える時間が少なくなってきます。無理のない範囲で何かに没頭する時間を作ると、つらい感情が和らげられるかもしれません。
4.リラックスする時間を作る
喪失感から立ち直るためには、リラックスできる時間を意識的に作ることがおすすめです。喪失感に襲われるとき、不安や怒りなど感情が大きく感情が揺れ動きやすくなっています。
エネルギーを使うため、心だけでなく身体も疲れやすくなり、心身ともに疲弊することがあるようです。心身の健康を保つためにも、心と体が張り詰めた状態からほぐしてあげましょう。
たとえば、お風呂が好きな人であれば、ゆっくり湯船に浸かってみるのがいいかもしれません。温熱作用により、血行がよくなることで自律神経が整い、リラックス効果が期待できます。
またお風呂には、筋肉の緊張をほぐして脳への安らぎを与える浮力作用があるため、緊張に伴う脳への刺激も緩和されるようです。好きな香りの入浴剤を入れたり、キャンドルを焚いたりしてお風呂時間を楽しむのも良いかもしれません。
体を動かすのが好きなら、心の安定を目的としたヨガを取り入れるのもおすすめです。なかでも、強度の低いポーズを中心におこなうリラックスヨガは、気持ちを落ち着かせたいときに適しています。
ヨガをするときは、鼻から息を吸ってお腹を膨らませながら、鼻から吐く腹式呼吸を意識することが大切です。息を吐くことで副交感神経が刺激され、心をリラックスモードに変えてくれます。
5.友達と会う
喪失感に襲われるときは、一人になりたい気持ちが強くなることがあるようです。しかし、一人でいると喪失感以外の感情が生まれづらく、ネガティブな感情から抜け出せなくなることがあります。
精神的につらいときこそ友達と会い、悩みを相談したり何気ない会話をしたりして気分転換をするのがおすすめです。友達と話すことで、楽しい感情が生まれやすくなります。
友達と話した後は気持ちが楽になり、喪失感から生まれてくる負の感情が薄まることがあるようです。また、同じような経験をしたことがある友達と話せば、「つらいのは自分だけではないんだ」と感じられるかもしれません。
その友達が喪失感を乗り越えた経験がある人ならば、「自分も乗り越えられる」と希望を持てることもあるようです。
6.カウンセリングを受ける
喪失感から抜け出せないときは、カウンセリングを受けるのもひとつの方法です。家族や友達に話せれば良いですが、周囲に遠慮して誰にも打ち明けられず、一人で悩みを抱え続ける人もいます。
カウンセラーは専門的な知識を持つ、話を聞くプロです。家族や友達ではない第三者だからこそ気軽に話せることもあるため、相談相手が見つからない場合に利用するのがおすすめです。
また、喪失感から立ち直れない人のなかには、モヤモヤした気持ちをうまく言語化できずにいる人もいます。カウンセリングであれば、カウンセラーとの対話を通して自分の気持ちを整理できることがあります。
カウンセラーとのやりとりから、喪失感から立ち直るための糸口が見えてくるかもしれません。自分の気持ちを整理したい人にも、カウンセリングはおすすめです。
喪失感を抱いたときはカウンセリングを受けてみよう!
大切な人との死別や恋人との別れなどつらい経験をしたとき、人は喪失感に襲われることがあります。
悲しみや不安、怒りなどさまざまな感情が押し寄せ、精神的につらい状態が続くことがあるようです。一般的には時間が経つと喪失感は薄まりますが、立ち直れずに苦しむ人もいます。
喪失感から立ち直れないときは、カウンセリングを受けるのもひとつの方法です。カウンセラーとの対話を通して感情が整理され、喪失感から立ち直るための糸口が見えてくるかもしれません。
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